あなたは酒粕を食べていますか?今まで一度も口にしたことがないとおっしゃるかた!それはとてももったいないですよ!
日本では、昔から、酒粕に魚や肉、野菜などを漬けこんで、保存食にしたり、普段の食事に少量加えることで、日本酒の独特の風味や保存を効かせるなど、さまざまな方法で親しんできました。
最近の流行では、酒粕を水で伸ばし、甘味を加え、熱し、甘酒として飲むことも良く知られていますね。これからの寒い季節などには、しょうがをたくさん効かせた酒粕甘酒は、本当に体が温まります。
また近年、日本酒は、日本だけでなく、海外でも注目されています。日本酒の副産物である酒粕も、高い栄養価や健康効果があるとわかったら、世界に知れ渡ることもきっとそう遠くないはずです。
さらに言えば、さまざまな使い方の可能性がある酒粕は、もしかしたら、日本酒以上に注目されるかもしれませんね。
そんな伝統的な食べ物でありながら、新しい可能性のある酒粕について調べてみました。
私のお気に入りの酒粕とともに、我が家で定番の美味しい酒粕レシピなどもご紹介したいと思います!
酒粕とは?
What is a sake lees?
酒粕とは、もろみを圧搾し、日本酒を絞り出したあとに残る副産物です。
もろみは、蒸したお米に水や麹菌を混ぜ、酒母を加えたもので、発酵し、糖化した、栄養価の高い状態です。このもろみを絞ると、日本酒が出来上がるのですが、カスとは言え、残った酒粕も、栄養価が高く、身体にもよく、さらに美容に良い成分をたくさん含んだ素晴らしい食べ物となっています。
また酒粕の中には、病気のリスクを軽減するような成分もたくさん入っているので、40代50代にとっては、甘酒やお酒のアテにするだけでなく、普段から積極的に摂りたい食べ物なのです。
発酵しながら保存できる
酒粕は、きちんと密閉して保存することができれば、何年でももつと言われています。(私も試してみたいけれど、結局1年程度で使い切ってしまうので、年単位での保存はしたことがないです。)
もともと酒粕は発酵食品です。酵母菌や乳酸菌などがしっかりと守ってくれているので、ほかの雑菌が繁殖しないのだそうです。もちろん保存している間も発酵しているので、風味が変化していきます。時間の経過とともに、色々楽しめますね。
我が家では、冷蔵庫がいっぱいのため、冷凍しています。冷凍だと、発酵は進みませんが、いつまでもフレッシュな状態で頂けます。
消化酵素と代謝酵素
酒粕には、酒粕の中に含まれる微生物が醸しだす酵素が100種類以上存在すると言われています。この酵素が、人間の消化吸収を助ける働きをします。人間も体内で酵素を作ることができますが、限りがあるそうです。
実は人間の身体の中の酵素の役割は、①消化酵素と②代謝酵素の2種類あり、体内でできた酵素をそれぞれに割り振っているようです。
①消化酵素は、食べ物を体内で消化し、必要な栄養素を身体の中に取り込むために必要な酵素です。唾液や膵液などの消化液の中にあるほか、腸内微生物も消化酵素を作り出すことができます。
②代謝酵素は、栄養素をもとに細胞を作り出したり、解毒したり、免疫力や自然治癒力を高める、老化を防ぐなどの働きをします。
また、消化酵素は食べ物で補うことができますが、代謝酵素は、食べ物では補えないそうです。そのため、体内でできる酵素を代謝酵素として多く使われるように、消化酵素は食事など身体の外から取り入れるのがいいと言われています。
*最近流行りのローフードなど(食材は熱を通さず、食べ物の酵素を壊さず身体に取り入れる食事法)がまさにそれですね。
健康や美容のことを考えると、しっかりと外から酵素を補い、代謝酵素が体内に十分量あれば、きれいな肌になれ、健康な髪の毛が生え、ターンオーバーが正常になり、老廃物を排出でき、老化に対応できるというわけですね!
しかし、ここで要注意なのが、酵素の特性(熱に弱い)を考えると、酒粕は生で食べるのが望ましいということのようです。
酒粕の効果と効能とは?
Effects and effects of sake lees
では、酒粕に含まれている成分は、どんなものがあるのか、見ていきましょう。
酒粕には、主に、このような成分が入っています。
食物繊維(g) 5.2
ナイアシン(mg) 2
ビタミンB1(mg) 0.03
パントテン酸(mg) 0.48
ビタミンB2(mg) 0.26
ナトリウム(mg) 5
ビタミンB6(mg) 0.94
カリウム(mg) 28
葉酸(μg) 170
カルシウム(mg) 8
亜鉛(mg) 2.3
マグネシウム(mg) 9
水分(g) 51.1
リン(mg) 8
炭水化物(g) 23.8
鉄(mg) 0.8
脂質(g) 1.5
銅(mg) 0.39
たんぱく質(g) 14.9
※五訂増補日本食品標準成分表より引用(100gあたりに含まれる栄養成分量)
上記のように、酒粕は栄養価が高く、特にビタミンB群や、亜鉛、葉酸などといった、積極的に摂りたい成分がきちんと含まれているということに気が付きます。
美容効果
また、酒粕に含まれる成分の中には、アルブチンやコウジ酸、フェルラ酸といった、美白、美容に良いと言われている、成分も多く含まれているそうです。
アルブチンは、化粧品業界でも有名で、シミやニキビに効くと言われている美白成分ですし、コウジ酸も同じく、美白成分です。またフェルラ酸は、抗酸化作用が高い成分で、こちらも、私の大好きな化粧品たち(主にクリームや美容液系)に多く含まれています。↓こちらの美容液のように。
健康効果
①インスリン様の効果
酒粕には、インスリンに似た効果があることがわかっているそうです。そのため、糖尿病予防効果があると言われています。私のような遺伝的に糖尿病予備軍の人には嬉しい!
②ダイエット効果
酒粕には、食物繊維が多く含まれているため、便秘解消に効果があり、また腸内環境を整え、内臓だけでなく、肌もきれいにしてくれる効果が期待できます。
③認知症予防効果
酒粕には、認知症の原因物質である、プロリエルエンドペプチターゼという酵素の働きを抑制する効果があると言われているそうです。そのため、認知症の予防や改善にも大きな期待がかけられているようです。
酒粕を選ぶ際のポイントは?
What is the point of choosing a sake lees?
では、そんな酒粕の健康や美容の効果を最大限に引き出すには、どのような酒粕を選び、取り入れたらよいのでしょうか?
①原材料は、米・米麹であること。
色々な種類の日本酒があるように、その副産物である酒粕にもさまざまな種類の酒粕があります。実際に健康効果や美容効果を期待するなら、どのような酒粕を選べばよいのでしょうか?
健康効果や美容効果を求めるだけなのであれば、原料米が低精白(70%程度までの精白)の生酛づくりや山廃づくりの純米酒の酒粕が良いと言われているようです。
実は精白しすぎると、精白していないものよりも栄養素や微生物が少なくなるそうです。つまり健康効果や美容効果だけを考えるなら、低精白酒粕を購入するほうがよいそうです。
しかし、それがすっごく好きか?と言えば、どうだろう。やはり高精白(精白程度が60%以下の吟醸と言われる類)のほうが、香りや味に華やかさやフルーティさを感じると思います。癖がなく、私もこちらのほうが味は断然すきかな?
お料理やドリンクとして飲用するなら、やっぱり自分が美味しい!って思うほうがいいし、長続きすると思うんですよね。だから、私的には、吟醸系の酒粕を推し!です。
そしてポイントは、醸造用アルコール入りのものは選ばないこと。純粋な純米酒がいいと思います。
もし、自分ではわからないと思ったら、近くの酒屋さんやネットの酒屋さんで聞いてみてもいいですね。「これって純米酒の酒粕ですか?」と。
②フレッシュと熟成
酒粕には、お酒を絞ったばかりの出来立ての酒粕と、ある程度しぼってから時間がたった、熟成された酒粕があります。
それぞれにおいしさがあるので、好みや使用法によって使い分けるのがよさそうです。
フレッシュ酒粕は、絞った日本酒、そのものの味わいに近い香りが楽しめます。フルーティですっきりとした甘さのある日本酒であれば、フレッシュ酒粕もそのような味わいが楽しめるということです。食感としては、やや固め、そのままで食べると、あっさりとした味わいが楽しめます。
反対に熟成された酒粕であれば、アミノ酸が多く含まれているため、熟成されるにつれ、うま味成分も熟成され、濃厚でコクのある味わいが楽しめます。食感としては、熟成が進むにつれて、柔らかく、ねっとりとしたものになります。
酒粕の持つ、健康効果を最大限引き出すには、あまり熱を通さないほうが良いようですが、熱を通して食しても、ある程度は酒粕の持つ健康効果や美容効果を得られるようですね。
料理に使うなら
①漬けものなどには熟成酒粕
酒粕に含まれる、アミノ酸やブドウ糖、酵母菌などが、日がたつにつれ、発酵が進み、熟成され、よりうま味が増し、美味しくなると言われています。確かに、フレッシュな酒粕に比べ、熟成された酒粕のほうが、濃厚な香りと味わいになっているような気がします。
このような熟成された酒粕を料理に使うなら、魚や肉、野菜などを漬けこんだり、お味噌汁などに少量加えたりして、風味付けするような使い方がいいと思います。
②そのまま食べるか、甘酒などには、フレッシュ酒粕
そのままつまんだり、焼いたり、甘酒などに使う場合は、フルーティな香り、すっきりとした味わいのあるフレッシュな酒粕をおすすめします。癖がなく、あっさりといただけます。
美容効果を期待するなら
基本的に、代謝酵素のために食べることをおすすめします。つまり、できるだけ熱を通さないで食べる方法です。
この場合は、我が家でつけている、青梅の酒粕漬けや、野菜の酒粕漬けなどのように、漬けた野菜や梅を酒粕ごと、そのまま食べられる方法が一番かと思います。(レシピは最後に)
おすすめの酒粕
What is the recommended sake cup?
↑こちら、蓬莱泉「空」は、冷酒で飲むなら、私が一番好きな日本酒です。冷で飲むのがおすすめ。開栓した瞬間にわかる、とってもフルーティで華やかな香りと、すっきりとした甘みのあるお酒です。
日本酒慣れしていない人や、初めての日本酒にはもってこいの日本酒です。(フルーティで華やかな香りということで、またお値段的にも、年末年始の限定で頂くことが多いです。)
さらに、この空を醸造している酒蔵では、もちろん酒粕もあります!こちらはとってもお得に買うことができるので、おすすめです。
酒粕レシピ
Recipe using sake lees
酒粕を使ったレシピは、甘酒、粕汁など色々ありますね。粕汁などは、地域によっていろいろな作り方もあるようですから、今回は割愛。その代わり最後に珍しい青梅の粕漬けレシピを載せてみました。ほかのレシピとともに参考にしていただけたら嬉しいです。
酒粕甘酒
米麹の甘酒も好きですが、どちらかと言うと、わたしはこちらのほうがコクがあって好きです。若干のアルコールが残っている場合があるので、お子様にはお勧めできませんが、大人にはこちらをおすすめします!
ショウガのしぼり汁(私の場合は、アイハーブで購入しているオーガニックジンジャージュースで代用しています)をたっぷりと入れると、寒い日には身体の中から温まります。ショウガの薬効も考えると、風邪シーズンには毎日でも取り入れたい逸品です。
材料
- 酒粕 100g程度
- 水 500~600㏄程度
- 甘味(砂糖やメープルシロップ、はちみつなど) お好みの量
- 塩 一つまみ程度
- ショウガのしぼり汁(またはショウガの粉) お好みの量
作り方
- 酒粕を細かくちぎっておく。
- 小鍋に酒粕をお水を入れて、少し置いてなじませる。
- 小鍋を火にかけて、酒粕を溶かします。(酒粕によっては、ツブツブが残ってる場合もありますが、気にしないで。もちろん濾しても舌ざわりが滑らかになり、飲みやすいです。)
- 酒粕と水がきれいに滑らかな状態になったら、塩と甘味を入れてさっと煮たたして、最後にショウガのしぼり汁(またはショウガの粉)を入れれば完了です!
酒粕入り天然酵母パン
パンを手作りする人は、こんなのもおすすめです。
私は時々天然酵母パンを作ります。(家庭用ベーカリーで。手ごねは難しくてできない)材料を入れて、スイッチオンでできる食パンが主ですが、たまに一次発酵だけをベーカリーで済ませ、後は手作りで丸パンという場合もあります。
どちらにしても、ベーカリーでの最初にこねる作業の中で、少量酒粕を入れるだけで、なんとも香ばしい香りのパンが焼きあがります。
酵母も、いつもは、白神こだま酵母、時々、酒粕をもとに酒粕酵母を作って、それをストレートで使用してパンを作っています。酒粕酵母は出来るまでにちょっと時間がかかり、管理も面倒と思うのでここでは書きませんが、酒粕をダイレクトにベーカリーに投入するのなら、簡単でしょう?
パンを作る人には是非お試ししていただきたいものです。
青梅の酒粕漬け
甘酒に比べると、ちょっと手間と食べれるまでに時間がかかりますが、食べると本当に即効性のある疲労回復食材になるので、毎年楽しみに作っています。今年の6月につけたものがちょうど食べごろになって(12月現在)います。(上の写真)
材料
- 青梅 500g程度
A
- あら塩 80g程度
- 砂糖 20g程度
- 焼酎か、ホワイトリカー 50㎜程度
B
- 酒粕 500g程度(熟成が進んだほうが、コクが出て美味しいです)
- 砂糖などの甘味(ハチミツやメープルシロップでも) 50g程度
- 白みそ 50g程度
作り方
- 青梅を洗い、一晩水につけて灰汁を抜きます。その後水気を取り、ヘタもとる。
- 保存袋に焼酎か、ホワイトリカーと梅をいれ、全体にまぶして、水分をとる。その後A(砂糖とあら塩)を入れて、全体にしっかりとまぶしておく。
- 保存袋の空気を抜き、平らにならして、上から重しになるようなものをのせて、冷蔵庫に入れておく。
- 数日(3~4日後程度)すると、白梅酢が上がってくるので、梅の半分程度まで水気がきたら、梅を取り出し、B(酒粕、白味噌、甘味(砂糖やハチミツ、メープルシロップなど))とともに、保存袋に入れる。取り出した後の白梅酢は、漬けものなどに利用できるので、捨てないでくださいね。
- 梅とBを合わせ漬けた保存袋を冷蔵庫で保存する。梅の灰汁が和らぎ、美味しく食べれるようになるまで3か月以上寝かしたほうがいいと思います。早めに食べると、梅の灰汁が胃に来ます。
* 我が家では、白みそを入れていますが、入れなくても美味しくできます。入れないほうが一般的かも。白みそを入れると、梅を食べ終わった後に野菜を付けると、美味しいぬか漬け風漬けものができるので、そのために入れているといってもいい感じです。
酒粕パックや入浴剤
① お顔用パック
美容効果を高めるために、酒粕を顔用のパックにすることもできます。
酒粕にヨーグルトやハチミツ、オイルなどを混ぜて、ペースト状に練ってから、顔に泥パックのように乗せる方法です。
大体5分から10分程度そのままにして、後は良く洗い流すと、酒粕の血行促進効果なのか?お顔の血行が良くなって、パッと明るくなったように感じます。定期的に続けることで、色白になるようですが、これ、アルコールに敏感な方には、おすすめできないのでご注意ください。
② 入浴剤
入浴剤として、酒粕を細かい洗濯ネットなどに入れて、浴槽に入れると、お風呂上りがしっとりとした肌になります。
ポイントは、こちらは、お風呂に入る前に入れておくことをおすすめします。酒粕に含まれるアルコール分がお湯の熱さである程度飛ぶので、酒粕のいい香りだけを感じることができます。入れた酒粕で身体をゆっくりとこすると、肌がつるっとしますよ。
まとめ
いかがでしたか?酒粕の健康・美容効果に興味を持っていただけましたか?
普段身近にない食材かもしれませんが、使い始めてみると、意外と色々と応用できる食材です。また酒粕独自のうま味や風味を感じることができるので、いつものお料理もワンランクアップできるかもしれません。
ご紹介したレシピのほかにも、野菜やお肉、魚を付けてみたりと色々にアレンジできるので、(さらに保存が効くし)おすすめですよ。
あなたも酒粕食べてみませんか?
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